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プチ知得:食欲ないときの点滴?

 ①『嘔吐がひどい』②『下痢がひどい』③『食事がとれない』などの時に、「点滴してください!」とお願いされますが、①②については、水分摂取しても体から排泄される量が多くて、脱水症状がある場合に、点滴することは良しとして、最後の③については、時と場合によってはいかがなものでしょう?

 大体、③の場合には

「朝から食欲なくて、何にも食べていなくて、水分は多量に取っていますがポ○リス○ェットやジュースしか飲んでいないので・・・」

 との訴えが多いです。

 この場合の問題は、「食べていない」ということです。つまり栄養(カロリーなど)が足りないので、これを補って欲しい!(と私は受け取っている)とのことですが・・・(脱水ではない)

 実際点滴の輸液内容は、スポーツ飲料(ポ○リス○ェット、ア○エリ○スなど)若干薄めた内容のもので、カロリーも60Kcal/500mL程度。静脈注射で生理的範囲を超えない濃度5%のブドウ糖液でさえも100Kcal/500mL程度。(一般的におにぎり一個が約180Kcal)

 これを、点滴で最低限おにぎり1個分のカロリーを摂取するには、約1L~1.5Lの点滴補液を行わなければいけません。

 さて、仮に体重20Kgのお子さんがいて、腎障害も脱水症状もなく同じカロリーを摂取したいとした場合、体にあまり負担をかけるわけにはいきませんので、10ml/Kg/時間(これでも多い?)で補液した場合、

 1000[ml]÷(※20[kg]×10[ml/kg/hr])=5[hr]

 単純計算で、5時間かかる!(ブドウ糖液でも)→子供は終わる頃には飽きている。

 (体重50Kgであれば、上記の※に50を代入して単純計算で2時間。)

 ま、そこまで厳密にやらなければいいというのであれば、もっと短時間で済みますが・・・それではカロリー摂取が不十分で、元の目的(カロリー摂取)に反してしまう。

 また、実際の補液をブドウ糖液ですべて行った場合には、一時的な高血糖状態を作り出しますので、食欲もまた落ちてしまう可能性があります。

 しかし、点滴療法の適応(補液製剤の使用上の注意にかかれている効能・効果)は、

  • 脱水症及び病態不明時の水分・電解質の初期補給,手術前後の水分・電解質の補給。
  • 経口摂取不能又は不十分な場合の水分・電解質の補給・維持

 となっており、水分・電解質(塩分など)の補給目的であって、決して栄養補給・カロリー補給とはなっていない。つまり、点滴でカロリー補給は基本的にしてはいけないのです。

 また、ビタミン剤の投与(点滴・注射)は、基本的に経口での摂取ができない場合に行うこととされております。

 →これがなかなかわかってもらえない。

 本格的に、カロリー補給を要する場合、補液内容も変更して濃度の高いものとなり、点滴でよく使われる手の甲や肘の静脈などからの補液では、強い痛みを伴う血管炎を起こすため、刺入する部位は変わらなくともカテーテル(柔らかい細い管状のもの)の先端を心臓付近の太い血管にまで進めて固定し、少量ずつ滴下をする形にしないと、補液できません。

 上記の理由で、『食欲がない』ためのカロリー補給には『ウィー○ーイン・ゼリー』『カ○リー・メ○ト』など200ml/個のゼリーやジュースを用いるようお願いします。

 こちらの方が、早くて10秒(チャージ)!ちびちび飲んでも30分程度で摂取できますし、針を刺す痛みもありません。しかも、電解質(塩分・ミネラル)まである程度バランスよく摂取できますので・・・

 ビタミンなど足りない場合には、『リポ○タンD』などでの補給が、安価ですが・・・

 蛇足:私は、全部が全部、点滴補液をしてはいけない!という考えの基で治療を行っているわけではなく、脱水症状がある場合には、補液療法が有用なこともわかっております(また実際に点滴補液療法をしております)が、世間一般に安易に点滴をしたがる風潮がありますので、これを何とかしたいという思いで書いております。

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